「マッチプ」とは、韓国語で「おいしい店」のことです。
済州島(チェジュド)は海産物の宝庫です。黒牛や黒豚といった肉料理もいいですが、海鮮料理も外せません。今回紹介するのは「ムルフェ」という、日本とは少し違う食べ方をする韓国の刺身料理です。
ムルフェとは、直訳すると「水の刺身」という意味で、刺身に氷水をかけて食べる料理のことです。刺身と一緒に、千切りにしたキュウリや梨を器に入れ、ネギ・ニンニク・コチュジャンなどで味付けをした後に、氷水もしくはユクス(だし汁)を注いだら、ムルフェの完成です。刺身には主に、白身魚やヤリイカが使われます。料理の特性上、夏に食べたくなる料理です。
ムルフェの発祥地は釜山(プサン)に近い浦項(ポハン)とされていて、現在では韓国の東海岸地域と済州島の名物料理となっています。ムルフェは地域ごとに使用するユクスや刺身に違いがあります。済州式ムルフェは、味付けがコチュジャンベースではなくテンジャン(韓国味噌)ベースになっているのが特徴です。済州式ムルフェで使われる白身魚はスズメダイが一般的で、済州島の特産物であるアワビが入ったムルフェを出す店もあります。
※釜山で食べられるムルフェは「浦項式ムルフェ」を参考にしてください。
一般的なムルフェは汁なしの状態で出てきますが、済州島で食べられるムルフェは完成された状態で出てきます。ムルフェは食べている途中に、ご飯や麺を入れるのもお薦めです。ビビンバを食べる時のように、しっかりとかき混ぜるのがポイントです。
それでは、済州島でおいしいムルフェが食べられる店を2つ紹介します。リストアップした店はどちらも済州式ムルフェの店です。日本語表記がないので、韓国語が分かる人と行くのがいいでしょう。
※済州島の基本情報は、こちらを参考にしてください。
済州島でおススメのムルフェ店
サンジムル
エリア:旧済州(クチェジュ)・新済州(シンチェジュ)
おすすめポイント:済州島民が選ぶナンバーワンのムルフェマッチプ
一押しメニュー:サンジムルコース[A・B]
済州島民から絶大な支持を誇る刺身専門店です。旧済州エリアに本店があり、新済州エリアにも店舗があります。
この店には刺身、ムルフェ、煮付けといった単品メニューの他に、10万ウォンを超える高級なコースメニューもいくつかあります。その中でお薦めは「サンジムルコース」で、ムルフェの他に刺身盛り合わせ、焼きサバ、焼きアワビ、メウンタン(魚がメインの辛い鍋)などが付いています。ムルフェにはアワビ、ヤリイカ、サザエ、ブリ、ホヤがたっぷりと入っています。AとBの料理は同じで、Aが3~4人分、Bが2人分となっています。単品メニューのムルフェなら、カサゴの仲間のクジメという珍しい魚を使った「オレンイムルフェ」が人気です。別料金となりますが、「ククスサリ(素麺)」を追加注文して、ムルフェに入れて食べるのもいいでしょう。
サンジムル[新済州店]までは、済州国際空港からタクシーで約5分です。空港リムジンバス(600番)のバス停「ロッテシティホテル」からは徒歩5分です。
※位置情報は新済州店です。
公泉浦食堂(コンチョンポシクタン)
エリア:西帰浦(ソギポ)
おすすめポイント:済州島南部では有名な済州式ムルフェの店
一押しメニュー:チョンボク(アワビ)ムルフェ
済州島南部の西帰浦エリアにある海鮮料理専門店です。店は海の目の前に立つ一軒家で、ロケーションが抜群です。
この店のムルフェはエゴマの葉とのりが入っているのが特徴です。一番人気のメニューは、アワビが入った「チョンボクムルフェ」です。ムルフェメニューは常時、何種類か用意されていますが、季節によってメニューが変わるようです。チョンボクムルフェは年間通して食べられます。この店では、麺の代わりにご飯をムルフェに入れて食べるのが定番です。付け合わせのおかずは種類が多くありませんが、セルフサービスでおかわりすることもできます。
木曜日が定休日です。
公泉浦食堂までは、西帰浦エリアの中心部からタクシーで約15分です。空港からは遠いので、中文(チュンムン)や西帰浦に滞在した時に利用するといいでしょう。